つまり、「いま歩いている速度よりも速く歩けるようになる」だけで、元気で長生きできる可能性が高まるわけです。
「歩幅をプラス10cm」すると運動効果は倍になる
「何も意識しない歩き方(普通歩行)」から、1メッツ上げる工夫をするために、私がおすすめしているのが「歩幅を広げること」です。歩幅は歩く力と密接につながっています。「1メッツ上げる」と言われると難しく感じるかもしれませんが、一番簡単で確実な方法が、「いつもの歩幅を10cm(握りこぶしひとつ分)広げて歩くこと」なのです。
同じリズムでも歩幅が広がれば、歩くスピードが上がります。それだけでなく、下半身の筋肉への刺激が確実に増え、ただの散歩を「ゆる筋トレ」に変えることもできます。
中高年以上の方の歩き方を見ていると、知らないうちに歩幅がかなり狭くなり、いわゆる「ちょこちょこ歩き」になっているケースがよくあります。その大きな理由は、下肢全体の筋力低下、特に「足を後ろに蹴り出す筋肉」と「足を前に引き上げる筋肉」の衰えです。
歩くとき、私たちはふくらはぎ(下腿三頭筋)やお尻(大殿筋)の筋肉を使って地面を後ろに蹴り出し、体を前へ押し進める推進力を生み出しています。同時に、足の付け根の奥にある筋肉(腸腰筋)を使って、足を前へと振り出します。
これらの筋肉が弱くなると、体を前へ押し出す力も、足を前に運ぶ力も弱まり、無意識のうちに歩幅が小さく(小刻みに)なってしまうのです。
ただし、これらの筋肉だけが単独で弱くなることはほとんどありません。多くの場合、太もも(大腿四頭筋)など下半身の筋力全体が少しずつ低下しています。その状態で、あえて歩幅を10cm広げて歩くと、最初は「少しキツい」と感じるかもしれません。
でもそれは、普段あまり使っていなかった筋肉に、しっかり刺激が入っているという証拠です。つまり、歩きながら自然に筋トレができている状態なのです。「歩幅を10cm広げる」ことに加えて、次のポイントを意識するだけで、いつもの散歩がメッツを上げる"全身運動"に変わります。
①かかとから地面につく
歩くとき、前に出した足は、かかとから地面につくのが基本です。ところが、年齢を重ねると無意識のうちに「歩幅が小さくなる」「足裏全体でペタッと着地する」という歩き方に変わっていきます。
