トイレ休憩すら許されない…アメリカを蝕む「デジタル監獄」の過酷すぎる実態 自由の国で進行する「私的暴政」の正体

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
暴政株式会社:私的権力はいかにして自由を破壊したの
勤務スケジュールが不安定な労働者は、睡眠不足に陥り、精神的に苦しみ、総じて不幸である(写真:standret/PIXTA)
かつて「自由の国」と呼ばれたアメリカ。しかし、その足元では、労働者たちがかつてないほどの過酷な支配下に置かれている。企業が最新のテクノロジーを駆使して労働者を監視し、生活のあらゆる側面をコントロールする「私的暴政」が蔓延しているのだ。極限まで切り詰められたスケジュールと監視体制の下で、労働者はどのように搾取されているのか。哲学者スラヴォイ・ジジェクからマルコ・ルビオ米国務長官まで、政治的立場の垣根を越えた幅広い識者から異例の絶賛を浴びた、気鋭の「保守」論客、ソーラブ・アマーリ氏の著書『暴政株式会社:私的権力はいかにして自由を破壊したのか』から、現代アメリカの「デジタル監獄」の実態を抜粋してお届けする。

子どもの誕生と同時に始まるJIT労働の地獄

子どもの誕生は、人生で最も幸せな出来事の一つである。

『暴政株式会社:私的権力はいかにして自由を破壊したのか』
『暴政株式会社:私的権力はいかにして自由を破壊したのか』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

しかしながら、妊娠や出産の喜びは、これから新しく親になる者が経験するさまざまな苦難への備えには、ほとんど何の役にも立たない。

今日の巨大サービス産業で働く女性の場合、出産・育児にかかる負担だけでは済まない。

さらに重くのしかかるのが、経営者から課される「ジャスト・イン・タイム」方式の勤務スケジュールである。

これは、店舗やレストランが時にコンピューター・プログラムを用いて、顧客需要を満たすために必要な最低限の人件費だけを厳密に計算して支出するよう設計されたもので、それ以上の支出は一切許されない。

マサチューセッツ州のアリシア・フレミングもそうした女性の一人であった。

彼女はまだ10代の頃にダンキンドーナツで働きはじめ、その後フランチャイズの飲食店や高級レストランなど、外食産業で経験を積んできた。

彼女はそうした仕事にやりがいを感じ、高級店でのチップ収入が生活費を賄うのに役立っていた。32歳で男の子を授かるまで。

次ページ数日前にならないと出勤を求められるかどうかすらわからない
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事