トイレ休憩すら許されない…アメリカを蝕む「デジタル監獄」の過酷すぎる実態 自由の国で進行する「私的暴政」の正体
1970年代以降、アメリカの労働者は私企業がもたらす弊害の影響を以前よりも強く受けるようになった。
私企業は短期的な利益と株主価値の向上と引き換えに、かつて労働者階級の生活を特徴づけていた生活手当、すなわち生活水準を維持するために必要な賃金、医療保険、退職金、一般的な雇用保障、その他諸々を切り捨ててきた。
これによって特に大きな打撃を受けたのが、労働市場の下層にいる労働者たちである。
こうした変化の総合的な影響は、労働者の視点からしばしば「プレカリティ(precarity)」と表現される。それは、精神的にも物質的にも暮らしの安定と安心がほとんど望めないという感覚である。
1970年代以降の数十年間、労働者階級の下半分は実質賃金の上昇を実感できずにいた。
その結果、何百万人ものアメリカ人が生活費の支払いが困難となり、労働者家庭は公的扶助に頼らざるをえなくなった。
そのなかには、ファストフード店で働く労働者の半数や大学の非常勤講師の4分の1が含まれており、アメリカの納税者に年間1530億ドルもの負担を強いている。
体系的に低い賃金のせいで、長期的な貯蓄や万一のときに回せるお金はほとんど、あるいはまったく残っていない。
連邦準備制度理事会によると、アメリカの成人の45%が緊急の出費に必要な現金400ドルを用意するのに苦労しており、12%がまったく用意できていないという。
「労働力を最大限に支配する」新たな方法
しかし、賃金のプレカリティだけが問題ではない。
アリシア・フレミングを苦しめたような勤務スケジュールのプレカリティという問題もある。
カリフォルニア大学の学者ダニエル・シュナイダーとクリステン・ハークネットが2019年に発表した画期的な研究で指摘しているように、勤務スケジュールのプレカリティは、消費者需要の変動に伴うコストを労働者に負担させつつ、「労働力を最大限に支配する」ための新たな方法である。
労働者は常に柔軟に対応し、需要の高まるときに備えて常に待機していることが求められるが、一方で、需要が見込めなければシフトがキャンセルされることもある。





















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