トイレ休憩すら許されない…アメリカを蝕む「デジタル監獄」の過酷すぎる実態 自由の国で進行する「私的暴政」の正体
その頃、フレミングは毎週末地元客で賑わうポリネシア風の大型レストランで働いていた。
その店では、子どもがいなかったときには我慢できたシフト勤務制が、一転して肉体的、心理的、経済的なストレスと戦う試練の場と化した。
雇用主は「自分たちの利益最優先で、どうしても人手が必要なとき以外はシフトに入れてくれません。ですので、数日前にならないと、出勤を求められるかどうかすらわからないんです」と彼女は語る。
フレミングは深夜から翌朝までのシフトに入ることもあったが、レストランから勤務スケジュールの連絡が来るのは、出勤日のわずか数日前であった。
そのため先の予定が読めず、子どもの預け先を見つけるのは不可能であった。
近くに身内もいないシングルペアレントだったため、急な呼び出しに対応できないときは、シフトを休まざるをえなかった。
その結果、収入も不安定となった。
「(シフトを組めれば)お金を稼げるでしょうし、それでなんとか生活のやりくりもできるようになると常に感じていました。そうなれば、あとは子どもの面倒をみてくれる人をどうにかして探せばいいだけだって」
へトへトになりながら、生活必需品の支払いにさえ四苦八苦していたフレミングは、生後まもない赤ん坊を抱えたまま経済的に行き詰まる事態を避けるため、仕事を辞めるわけにはいかなかった。
とはいえ、育児の合間を縫ってなんとかこなしていたシフトだけでは生活を賄えないのも事実であった。
シフト管理アプリが支配する「プレカリアティ」の絶望
このような悲惨な事情は決して珍しくない。
2021年現在、アメリカの2500万人の外食・小売業従事者は、国民人口のほぼ10分の1、雇用労働力の16%を占めていた。
従業員の3分の1は、翌週の勤務予定について1週間前までに通知を受け取ることができずにいる。
その結果、時間のやりくりができなくなり、自分の健康のみならず、自分の子どもの社会的・精神的発達をも危険にさらしている。





















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