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新しい事業や思想は、完全な0から生まれることはありません。そこには必ず既存の「市場」があり、圧倒的なシェアを握る「競合」が存在します。これは、現代のビジネスシーンだけでなく、数千年の歴史を持つ「宗教」の世界においてもまったく同じです。
尾登雄平氏の新刊『
教祖の履歴書』では、「宗教の始まり」と「企業の設立」は性質が似ているという視点から、歴史上の宗教指導者たちを「起業家」として分析しています。新宗教の登場は、既存の宗教がシェアを握る「レッドオーシャン市場」への「新規参入」に他なりません。
今回は、この「市場戦略」という観点から、特に対照的かつ鮮やかな戦略を見せた二人の創業者、マーニーとマルティン・ルターのケースを深掘りします。彼らはいかにして、巨大な競合が支配する市場の常識を打ち破ったのでしょうか。
ケース1:マーニー教――競合の「良いとこ取り」によるプロダクト開発
マーニー教と聞いても、ピンとこない方が大半かもしれません。しかし、この宗教はかつて、キリスト教、イスラム教、仏教に並ぶ「第四の世界宗教」と称され、初期キリスト教の最大のライバルとして恐れられたほどの巨大勢力でした。西はローマ帝国から東は中国・ウイグル王国まで、広大な地域に展開したこの「幻の世界的宗教」を創り上げたのが、3世紀の天才・マーニーです。
彼が参入した当時の西アジアは、すでにゾロアスター教、キリスト教、仏教といった強力な「競合」がひしめく成熟市場でした。この困難な市場で、天才マーニーが採用したのは、現代のプロダクト開発にも通じる、見事なハイブリッド戦略です。
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