なぜ「クレヨンしんちゃん」はアジアで愛されるのか? 不朽のキャラクターを生んだ臼井儀人という作家の魅力

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上海でも「クレヨンしんちゃん」は大人気(写真:CFoto/アフロ)
連載当初は大人向けの漫画としてスタートした「クレヨンしんちゃん」。主人公の「野原しんのすけ」は、いかにして世代や国境を超えて人気キャラクターになったのでしょうか。本稿では、『キャラクター大国ニッポン-世界を食らう日本IPの力』より一部抜粋・再構成のうえ、サクセスストーリーの裏側をご紹介します。

双葉社「漫画アクション」が生んだ名作群

「クレヨンしんちゃん」(以下、クレしん)の作者である臼井儀人氏がデビューしたのは1987年、29歳のときだった。キャリアのスタートは、大型総合スーパーを舞台にしたギャグ4コマ「だらくやストア物語」という作品だ。

臼井氏が双葉社に持ち込んだ「だらくやストア物語」は、広告業界を題材とした4コマ漫画「気まぐれコンセプト」(1981年)以来の“業界モノ”として、当時注目されていたテイストに近かったことから新人賞佳作に入選し、その後、週刊誌「漫画アクション」で連載を始めることになる。

クレしんが掲載されることになった「漫画アクション」は、1967年創刊とともに「ルパン三世」や「子連れ狼」をヒットさせてきた。休刊の噂が出るたびに「じゃりン子チエ」(1978~1997年)や「かりあげクン」(1980~2003年)など“神風”が吹いて再興してきたが、「クレヨンしんちゃん」(1990~2010年)が現時点では最後の神風である。

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中山 淳雄 エンタメ社会学者、Re entertainment代表取締役

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なかやま あつお / Atsuo Nakayama

エンタメ社会学者。事業家(エンタメ専業の経営コンサルRe entertainment創業https://www.reentertainment.online/やベンチャー企業役員(Plott、ファンダム)をしながら、研究者(早稲田博士・慶應・立命館大研究員)、政策アドバイザー(経産省コンテンツIPプロジェクト主査、内閣府知財戦略委員)などを兼任し、コンテンツの海外展開をライフワークとする。以前はリクルート・DeNA・デロイトを経て、バンダイナムコスタジオ・ブシロードで、カナダ・シンガポールでメディアミックスIPプロジェクトを推進&アニメ・ゲーム・スポーツの海外展開を担当。著書に『クリエイターワンダーランド』『エンタメビジネス全史』『エンタの巨匠』『推しエコノミー』『オタク経済圏創世記』など。

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