「なぜ今、委員長を解任?」もはや国民には理解不能、会期末国会のゴタゴタの裏で起きている与野党攻防の深層

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衆院本会議で解任決議案が可決され、厳しい表情を見せる自民党の井林辰憲・前衆院財務金融委員長(写真:時事)

国民が物価高騰に苦しむ中、その解消策の1つと期待されている、ガソリンの暫定税率廃止法案。だが、この法案をめぐって、国民感情から大きくかけ離れた形で、与野党間の攻防が混乱と迷走を極めている。

同法案を審議する衆議院・財務金融委員会で委員長を務めていた井林辰憲氏(自民党)が6月18日、衆院本会議で解任された。解任案を共同提出したのは、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党など野党6党で、ほかの野党も賛成したため、可決した。

これを受けて野党各党は、後任として立憲民主党の阿久津幸彦氏を擁立。与党が擁立した小林鷹之氏を破り、阿久津氏が委員長に就任した。

委員長解任前には審議入りを拒否していた自民・公明両党は「少数与党下での野党の暴力的対応は、国会審議の公正さを損なう」(自民党の国対担当者)と猛反発。野党内でも、れいわ新選組が「単なる参院選向けパフォーマンスの茶番劇」と批判しており、「国民も野党の対応は評価せず、参院選での野党の得点にはなりそうもない」(政治ジャーナリスト)と、厳しい見方が広がる。

急転直下の委員長解任に至った経緯

そもそも、ガソリンの暫定税率廃止をめぐる経過を振り返ると、立憲民主党は暫定税率を7月から廃止する法案を4月に単独で提出した。だが、日本維新の会や国民民主党は自公との個別協議での実現を求めるなど、野党の足並みも乱れていた。

自公両党と国民民主党は昨年12月、幹事長間で廃止に合意していたが、それ以降、具体的進展はなかった。自公と維新も5月30日に、維新が要求する7月の暫定税率廃止を自公が拒否し、協議は打ち切りとなっていた。

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