「なぜ今、委員長を解任?」もはや国民には理解不能、会期末国会のゴタゴタの裏で起きている与野党攻防の深層
こうした経緯も踏まえて、国会会期末をにらんで立憲、維新、国民民主の3党は7月廃止に向けた法案の共同提出で一致。共産党などの賛同も得て、6月11日に野党7党で共同提出した。これに対して自民党が審議に応じなかったため、野党が土壇場で財金委員長解任という“非常手段”に出た格好だ。
これまでの歴史を振り返ると、衆参両院での常任委員長の解任劇は、2013年に参院環境委員長だった川口順子氏(自民党)が国会の承認を得ずに海外出張を延長したことで野党が決議案を提出、賛成多数で可決されている。このほか、法案審議を進めるため、与党が野党・民主党(当時)の委員長2人の解任決議を多数決で可決させ、自民党の委員長に差し替えた事例もある。
ただ、今回のような「国政選挙や政局に大きな影響を与えるような解任劇は、過去に例がない」(衆院事務局)とされる。
解任案の採決はヤジと拍手で騒然
18日の本会議では、立憲民主党の稲富修二議員が「財源論、実現性について、与党が疑問に思うならば、委員会で質疑すればいい。審議拒否をする理由にはならない」と、委員長解任の必要性を訴えた。
これに対して自民党の深澤陽一議員は「十分に審議もできないまま、約2週間後の7月1日から施行できると本気で思っているのか。国民生活に混乱を来す」と反論。議場内は与野党双方のヤジや拍手で騒然となった。
委員長の交代により、廃止法案は19日午前の財金委員会で審議入り。阿久津新委員長は冒頭での立憲民主党所属の委員による提案理由説明を受けて、実質審議は20日以降に行うとして散会した。
ただ、今国会は22日が会期末で、各法案の実質的な審議は20日までとされる。加えて、参院では与党が多数を占めるため、「仮に20日に衆院を通過しても成立の見込みはない」(自民党の国対担当者)のが実態だ。
今回の野党による解任劇について、与党側は「数の力による強引な戦術」(自民党幹部)と猛反発。井林前委員長は解任後、記者団に「非常に暴力的なものを感じている」と怒りを隠さなかった。
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