「なぜ今、委員長を解任?」もはや国民には理解不能、会期末国会のゴタゴタの裏で起きている与野党攻防の深層
ただ、その自民党にも、2013年に参院で野党の委員長に対する解任決議を可決し、引きずり下ろした過去がある。今回の解任劇で前例が積み重なることについて、自民党幹部は「自民党が多数になったときに、今度は野党の委員長を代えることが可能になる」(幹部)と漏らす。
そうした中、19日昼にはカナダでのG7(主要先進国7カ国)サミットから帰国した石破茂首相と野党各党の党首による与野党党首会談が行われ、石破首相は①トランプ関税をめぐる日米首脳会談は継続協議となった、②そうした状況での政治空白は避けなければならないなどとしたうえで、「国益を懸けた交渉だ」として野党の協力を求めた。
政府はすでに、次期参院選を従前の予定どおり「7月20日投開票」とするため、週明け6月23日にも閣議決定する段取りを固めている。石破首相はそれも踏まえて、各党首に協力を要請した格好だ。
これに対し、唯一、不信任案提出の実質的な権限を持つ立憲民主党の野田佳彦代表は「明日(20日)までに最終対応を決める」と述べるにとどめた。党首会談と同時進行の形で、立憲民主党内で小沢一郎氏らが不信任案提出を求める集会を開催したからだ。
この集会には同党の国会議員約30人(代理出席を含めると約60人)が集結。出席議員からは「(不信任案提出の)重要な機会を放棄することは、わが党が石破内閣を信任したに同義だ」「選挙を嫌がるなら政治家にならなければよい」などの発言が相次いだ。
その一方で、同党内でも野田氏と並ぶ実力者である枝野幸男元代表が以前から「不信任案の提出には絶対反対」と繰り返しており、党内では野田氏も最終的に「国難」を理由に不信任提出を見送るとの見方が広がる。それでもなお、最終的な着地点は見通せない。
「会期末攻防」自体が“茶番”との指摘も
こうした状況について、永田町関係者の間では「自民党も野党もすでに7・20参院選を前提に選挙活動を本格化させており、衆参ダブル選挙や選挙日程の変更は想定外。そうした中での委員長解任劇は、単なるパフォーマンスで全部が茶番」(政治ジャーナリスト)との見方もある。
足元のような状況自体が「夏の政治決戦」となる参院選への国民の注目度を下げかねないのが実態で、政界関係者の間では「ここに来ての各種地方選挙で目立つ、投票率の低下が参院選でも現実化すれば、結果的に自公両党や共産党など組織票をもつ政党が有利になるだけ」との指摘も出始めている。
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