スルメイカを日本人が食べられなくなる深刻事態 資源管理が機能せず漁業者は獲れるだけ獲る

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
スルメイカ(写真:筆者提供)

以前はあれだけ店頭に並んでいたのに見かけなくなった、もしくは見かけても、小さかったり、見た目が貧相だったりで、しかも価格が高い――そんな水産物を思い浮かべてください。普段ご家庭で魚をよく食べる方なら、何種類も思い浮かべることでしょう。

その代表格の1つがスルメイカではないでしょうか。10年前(2015年)には13万トンの漁獲がありましたが、今では2万トン弱と6分の1弱です。筆者が生のスルメイカを買って写真を撮ろうとしてもなかなか見つからない。そんな深刻な状態になっています。

スルメイカはなぜ減ってしまったのか

減少の理由は後述しますが、珍しい原因だけに注目する報道が多く、科学的に考えると思わず首をかしげてしまう内容が散見されます。資源管理制度の不備で獲りすぎているという本質的な問題は、ほとんど報じられていません。そのため過剰な漁業が続き、資源はさらに減っていきます。これは将来にとって大変な事態です。

水産資源を回復させる手段として、漁業を成長産業にしている国々で大きな結果を出しているのがTAC(漁獲可能量)制度です。2020年の70年ぶりといわれる漁業法改正の中にも取り入れられています。しかしながら、その運用方法がよく理解されておらず骨抜きにされてしまう傾向にあります。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事