「元バーテン」異色店主のラーメン店が繁盛の必然 培われた細やかなサービス精神が大繁盛店を生んだ

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一流のバーテンダーは無駄のないきれいな所作が美しい。忙しくても慌てず無駄のない動きをすることで美しく見えるのだ。その頃の経験を思い出し、オペレーションを少しずつ改善していった。

及川淳一さん
調理中の及川さん(筆者撮影)

年が明け、1月の後半ごろから3時間待ちの日も出てしまい、土日は記帳制を導入することにした。ゴールデンウィーク頃からさらに行列が長くなり、6月の平日で4時間待ちという日が出て、7月にはテレビで紹介されることが決まっていたことから、全日記帳制に切り替える。

「『ネット予約をなぜしないのか』という問い合わせが多くありますが、ネット予約はお店にとってはメリットしかありません。事前に来るお客さんの人数がわかり、会計も楽で、売り上げも安定します。ですが、常連さんにとっては、食べたい時にすぐに食べられないというのは問題なのです。お客さんのことを考えると今は記帳制にするしかないかなと考えています」(及川店主)

目先の売上より、目の前の客に真摯に向き合う

それでも土日は朝7時から8時ごろに夜の分まで埋まってしまうため、来客数よりも断っている数のほうが多いという。ノイローゼになりそうなこともあったそうだ。

「記帳でなければ×1.5倍の売り上げが見込めますが、常連さんのためにはそうするわけにはいきません。お断りするのは本当に忍びないのですが、来てくださったお客さんに真摯に向き合うのみです」(及川店主)

特製 帆立の昆布水つけ麺 黒
特製 帆立の昆布水つけ麺 黒(筆者撮影)

もともと人通りがあまり多くない場所だったので、のんびりお店をやるつもりだったが、想像もしないぐらいの大行列店になった。これほど話題になったのはやはりエンタメ性と味が両立しているからだ。

「通常、こういう一杯を作るためには、ほたてを大量に使わないと味が出ません。逆に、ほたてを減らしてエキスや調味料などを使って作ると嫌な味が出てしまいます。その中で、うちは余計なうま味を減らして、ほたて感がより出やすいバランスを目指して作っています」(及川店主)

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