「年収も私と同じくらいだし、気を使わないでお付き合いできるかなって。何より話が面白い方だったので、もう少しお会いしてみたいなと思いました」
よしふみからも交際希望が来て、2人は仮交際に入った。
ファーストデートは、美術館で絵を見たあとに食事をすることになった。
なぜ美術館デートになったかといえば、よしふみが好きな作家の個展を期間限定でしていたからだ。その作家の画風は、きみえが好きなタイプではなかったのだが、“まあ、お付き合いで観てみるのもいいか”と思ったそうだ。
その約束を取り付けたLINEに、こう書かれていた。「では、14時に美術館の入り口を入ったところで、待ち合わせをしましょう」。
金銭感覚が「なんか違う」
14時に美術館に行き、入り口で5分待ったものの、よしふみは現れない。10分を過ぎた頃に、きみえはLINEをした。
「入り口で待っています」
すると、即レスがきた。「僕は、もう中にいますよ。入り口を入ってきてください。左側にいますよ」
そこで約束したときのLINEを読み返すと、「美術館の入り口を入ったところ」と書かれており、各々がチケットを買って、中で待ち合わせをするのだと初めて気がついた。
“彼が誘ったのだから、チケットは2枚用意しておいてくれるはずだ。もしそうだったとしたら、終えてからの食事は私がご馳走しようか”と思っていた自分に苦笑いした。おそらくその後の食事も、キレイに割り勘になるだろう。
絵を観終えて、食事に行くことになった。
「よく行く店があるから、そこに行きましょう」
よしふみに連れていかれたのは、入り口で自分の飲むお酒と料理を買って、テーブルにつくタイプの店だった。
「お先にどうぞ」と促され、お腹が空いていたきみえはビールとピザとサラダを注文し、会計を済ませた。その後、よしふみはグリルソーセージ、アヒージョ、パスタとビールを買っていた。
飲み物はその場で渡さされ、料理はテーブルに運ばれてくる形式で、2人はビールを片手に、空いている席を見つけて着席した。
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