発達障害の子育てを通じ、情報学研究者の大学教授が痛感した「普通の呪縛」 大学進学は本当に最適解か、自信喪失の恐れも

「多様性」が太刀打ちできない、厳然たる「普通という呪縛」
発達障害の子どもと接するとき、保護者や教員など、周囲の大人はどんなマインドでいればいいのだろうか。岡嶋裕史氏は、彼らと定型発達との間に生じるギャップについて、自らの専門分野になぞらえて次のように説明する。
知的障害を伴わない発達障害でも、多くの場合、他者とのコミュニケーションに齟齬が出る。これはコンピューターでいえば、ディスプレイやキーボードといった「入出力装置」に問題がある状態なのだ――。そう言われてみれば、彼らが何もわかっていないわけではないことも、本当の能力に対して大きな生きづらさを感じることも、なんとなく理解することができるのではないだろうか。
中央大学 国際情報学部 教授
1972年生まれ。中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。富士総合研究所勤務、関東学院大学経済学部准教授・情報科学センター所長を経て現職に。『機動戦士ガンダム ジオン軍事技術の系譜 ジオン軍の闘争 U.C.0079』(角川コミックス・エース)、『やさしくわかる岡嶋裕史の情報Ⅰ教室』(技術評論社)、『【倍速講義】ChatGPT&生成AI』(日経BP)、『大学教授、発達障害の子を育てる』『ChatGPTの全貌 何がすごくて、何が危険なのか?』(ともに光文社新書)など著書多数
(写真:岡嶋氏提供)
「入力、つまりコミュニケーションの受け取り方がちぐはぐなので、発達障害の人は他者の表情などを読むことが苦手です。人間関係のエラーは、どんなときになぜ発生するのかがわかりにくい。それに比べれば、コンピューターのエラーは、必ず理屈で突き止めることができます。視覚優位であることや、高い記憶力などといった特性も活かせるので、やはりプログラミングが得意なケースは多いです。そういった意味で、近年の教育の方針は、発達障害の子どもたちにもメリットがあると言えるでしょう」

















