外資系自動車メーカーと中国メーカーの合弁会社は、これまでは外資ブランドの自動車を中国で現地生産・販売するために設立するケースがほとんどだった。
しかし零跑国際の役割はまったく異なる。同社は零跑汽車のEVを大中華圏以外のグローバル市場で独占販売する権利を持ち、中国以外の国・地域で現地生産を行う権利も与えられた。
零跑国際が取り扱う最初のモデルは、主力SUVの「C10」と小型セダンの「T03」の2車種で、零跑汽車の中国工場で生産して輸出する。まずフランス、イタリア、ドイツ、オランダ、スペイン、ポルトガル、ベルギー、ギリシャ、ルーマニアで販売を始め、2024年末までにヨーロッパの販売拠点を200カ所に増やす計画だ。
「相殺関税に対応可能」
EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は、2023年10月から中国製EVへの不公正な補助金の有無に関する調査を進めている。仮に「クロ」と認定されれば、中国製EVは相殺関税を課されることになる。
そんな中、ステランティスと零跑汽車がヨーロッパの販売網を共同構築するのは独特の意味を持つ。零跑汽車の董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)を務める朱江明氏は5月14日、メディアの取材に応じてこう述べた。
「ステランティスのグローバルな生産拠点を活用すれば、相殺関税などの問題に直面しても、生産の現地化による対応をスピーディーに進められる。これは他の中国メーカーにはない零跑汽車の優位性だ」
(財新記者:余聡)
※原文の配信は5月15日
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