「菜食主義は疲れやすい」が嘘でない医学的理由 20~49歳「日本女性の3割」は"かくれ貧血"?

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なぜだかイライラしたり、年中疲れが抜けないのは「かくれ貧血」が原因かもしれません(写真:アン・デオール/PIXTA)

日々診療を行っていると、感染症ではなく血液検査でも異常はないのに、年中疲れが抜けなかったり、原因はわからないけれどイライラしたり、といった症状を訴える女性が非常に多い。

私の診療経験上、そういう場合は「かくれ貧血」を疑ってみるといい。

20〜49歳日本女性の3割は「かくれ貧血」

いわゆる「貧血」は、血中の鉄成分「ヘモグロビン」の値を見て、男性は13g/dL以下、女性は12g/dL以下を基準に診断される。ヘモグロビンは酸素を繋ぎ止めて全身に運搬する役なので、ヘモグロビンが少ないと全身が「酸欠状態」に陥る。貧血のさまざまな症状は、この酸欠から引き起こされると言っていい。

これを踏まえて「かくれ貧血」とは、血液検査では貧血と診断されないが、実際には「鉄欠乏」状態にある人たちである。実は、生殖年齢にある日本女性のおよそ3割は「かくれ貧血」だ。

かくれ貧血の指標は大まかに言って2つある。1つは、血液の酸素運搬能力を示す「総鉄結合能」(TIBC)だ。

血中の鉄はトランスフェリンというたんぱく質に結合した状態(血清鉄)で存在していて、TIBCはトランスフェリンと結合できる鉄の総量を示す。鉄が不足すると、体はトランスフェリンを頑張って増やし、鉄が結合しやすい状態をつくろうとする。結果として鉄欠乏だとTIBCの値が上がることになる。

日本最大の検査会社SRL社の基準値では、女性のTIBCは246~410μg/dLが正常範囲とされている。400μg/dLを超える場合は、鉄欠乏状態と判断して差し支えなかろう。

実際、令和元年の国民健康・栄養調査では、TIBCが400μg/dLを上回る人の割合は、20歳代で19.5%、30歳代で28.7%、40歳代で29.8%にものぼった。ここには貧血治療をしている人は含まれていない。

つまり、20〜49歳女性の3割が鉄欠乏でありながら、放置されている。そして、貧血の人を含めれば、実際にはもっと多くの人が鉄欠乏ということになる。

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