文部科学省は2023年9月8日、2021(令和3)年度の大学における教育内容等の改革状況の調査結果を発表した。学部段階でカリキュラム編成にナンバリングを導入している大学は全体の72%と、4年前の調査より24ポイント上昇。学生の成績評価基準にルーブリックを導入したり、教員の業績評価にティーチング・ポートフォリオを導入したりする大学も徐々に増えており、改善が見られる結果となった。

学生は学習順序と成績評価が、教員は業績評価がより明確に

大学における教育内容等の改革状況調査は、大学の教育内容・方法に関する改善などの改革状況を定期的に調査し公開することで、各大学に積極的な改善を促すことを目的としている。2021年度は国公私立793大学に調査し、98%に当たる775大学(学部段階の母数は国立82、公立91、私立579の計752)が回答した。

全国的にはまだ普及していないものの、改善に向けて進展があった項目は3つ(数値の比較は17年度調査)。

まず、カリキュラム編成上の工夫として、教育課程の体系性を示すために各授業科目に意味づけされた番号を付与する「ナンバリング」を実施している大学数が、360(48%)から539(72%)に増加したこと。

ナンバリングによって標準的な学習の段階や順序が明示され、学生が履修科目を選択しやすくなる。また、ナンバリングのコードの構成が全学で統一されている大学では、他学部との教育課程の体系性の理解が容易となる。

学生が履修科目を選択しやすくなった。(画像:Adobe fireflyによるAI画像)

次に、成績評価基準として、一部の科目に「評価の観点」と「評価の基準」で構成した評価ツール「ルーブリック」を導入している大学数が、159(21%)から242(32%)に増加したこと。ルーブリックの導入によって、ペーパーテストの評価だけでは困難な、リポートやプレゼンテーションなどの評価がしやすくなるほか、評価の観点や基準を提示することで、学生はリポートやプレゼンテーションにおいて何が求められているのかを具体的に把握でき、成果物がより優れたものになる可能性も高まるという。

最後が、教員の業績評価として、教員が自身の教育活動について自らの振り返りに証拠資料(エビデンス)を付けた「ティーチング・ポートフォリオ」を導入している大学数が、199(26%)から297(38%)に増加したことだ。これにより、教員の教育活動への評価がより正当なものになり、今後の教育内容の改善にもつながるとされる。

 

調査元:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigaku/04052801/1417336_00010.htm