「1人1台端末×新しい日常」の学びを議論 ICT活用と既存制度見直しで学習環境を保障

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7月、政府の教育再生実行会議が開催された。議論のテーマは「ポストコロナ期における新たな学びの在り方」。新型コロナウイルス感染症拡大やそれに伴う学校の臨時休業などによって、改めてICTを活用した教育環境の遅れが明らかになった。また、9月入学の是非が取り沙汰され、継続的に検討していくとなっている。こうした状況を受け、今後、教育再生実行会議では初等中等教育と高等教育それぞれのワーキンググループで「新たな日常」における新しい学びのカタチが検討されていく。

学びを保障するため、ICT環境の整備を加速

2020年4月、1人1台端末の早期実現と学校ネットワーク環境の全校整備、家庭学習のための通信機器整備支援を目的に、GIGAスクール構想の前倒しが示された。「ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現」するための補正予算が計上され、教育現場では急ピッチで対応していることであろう。

6月には、新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の「学びの保障」総合対策パッケージが、文部科学省から発表された。「授業を協働学習など学校でしかできない学習活動に重点化」するとともに、個人でも実施可能な学習活動等は授業以外の場で実施するとしている。

学習を取り戻すために、最終学年(小6・中3・高3)は優先的な分散登校など活用し、そのほかの学年については、2~3年間を見通した教育 課程編成も検討し、着実な学習保障を促す。

また、人的・物的体制の緊急整備として、教員加配(3100人)、学習指導員(6万1200人)、スクール・サポート・スタッフ(2万600人)を追加配置。そして、 ICT活用については、 端末やモバイルルーターなどをとくに家庭でICT環境を整備できない子ども向けに優先配置し、秋以降の第2波に備えるとしている。

7月17日に閣議決定された成長戦略実行計画は、「全ての小学生・中学生に1人1台のIT端末をそろえることとしたが、これに併せて、ソフト面の改革が不可欠である」と指摘。具体的には、現行制度で定められている各教科、学年ごとの標準授業時数を柔軟に増減できるよう検討を進めることとした。AIドリルなどのソフトウェアを活用することによって個別最適化した学びが可能となるためだ。そうしたさまざまなソフトウェアを試験導入できるための支援も行う。さらに、教科横断的なSTEAM学習をするためのコンテンツ開発を掲げるとともに、各教科の授業時数の2分の1未満とされている学習者用デジタル教科書使用の基準を見直す。

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