夏休み中、経済的に困難な状況にある家庭の子どもに遊びや体験活動をしてもらおうと、認定NPO法人「フローレンス」(駒崎弘樹会長)は2023年7月12日、企業と連携してさまざまな体験機会を無償で提供する「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を始めると発表した。

「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」を発表したフローレンスの駒崎弘樹会長(左から4人目)らプロジェクトメンバー(写真:認定NPO法人フローレンス提供)

子どもの「体験格差」は自己肯定感などに影響

「#夏休み格差をなくそう プロジェクト」は、ひとり親家庭(別居中や離婚前の実質的なひとり親状態にある家庭を含む)、住民税非課税の子育て家庭など1000世帯を対象とする。

こうした家庭では外出や外食のための費用が削られがちで、学校活動がなくなる夏休みは格差が出やすくなる。

フローレンスによると、体験格差は「自己肯定感が下がる」「学力格差が広がる」「貧困の連鎖につながる可能性がある」など子どもたちに大きな影響があるといい、体験格差の解消のために、このプロジェクトを企画した。

アソビューチケット5000円分、航空機見学、プログラミング教室、かけっこ教室……

プロジェクトにはアウトドアやエンタメ、スポーツ観戦などの予約サイトを手がけるアソビューをメインパートナーに迎えた。アソビューは予約サイトで利用できる5000円分のチケットを抽選で400世帯に提供する予定だ。

このほか、日本航空は滑走路が見えるラウンジで機内食を食べ、本物の航空機を間近で見学できる体験を提供する。

日本生命は子ども向けのプログラミング言語でゲーム作りをするプログラミング教室を、日本テレビはアスリートによるかけっこ教室を開催する。

体験はぜいたくではなく「心の栄養」

12日に会見した駒崎会長は「体験や遊びは『ぜいたく』ではなく、子どもたちにとっては『心の栄養』で、人生を形づくっていくもの」と強調。

「体験格差はまだまだ知られていないので、しっかり着目してほしいし、政治や政策の世界にも反映されてほしい。夏休みは子どもたちにとってリスクであるということがもっと知られたら、児童館などの公的な施設でさまざまなプログラムを充実させていくことに予算が割かれるかもしれない。そういうムーブメントをつくっていきたい」と述べた。

子どもの体験に親が時間をかければ学力や非認知能力にも効果

会見に同席した慶応大学の中室牧子教授(教育経済学)は、子どもの体験に親が時間をかけることが学力や非認知能力(興味や意欲、自信など内面に関する能力)に効果があると解説。

「親や地域という枠組みを超えて子どもたちを支援していかなければいけない。今回のプロジェクトが1つの端緒となって体験格差の解消につながっていくと期待している」と話した。

期間は2023年9月30日まで。

参加申し込みはフローレンスのサイト内の応募ページから。応募締め切りはプログラムによって異なる(早いものは7月18日正午まで)。

https://florence.or.jp/news/2023/07/post62165/

 

調査元:https://florence.or.jp/news/2023/07/post62143/