小学校の英語必修化から3年、「英語の勉強が好き」が7割に安心できない訳 ALT派遣企業の「英語イベント」の狙いと効果

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2020年に小学校で英語が必修になってから3年が経つ。その影響もあり、今や中学校入学時点ですでに英語が苦手、嫌いになっているという子も少なくない。小学校から中学校へのスムーズな接続が課題になっているが、いかに小学校で英語の学びの土台をつくるのかも大切だ。これから長く続く英語にどう向き合うか。英語学習への動機づけとして、昨年から英語イベントを取り入れた公立小学校を訪れた。

「世界のフードコートで食べ物を注文しよう」

夏休みに入る直前の7月末、千葉県八千代市立大和田南小学校(児童数:822、校長:田中佳子)で開かれていた英語イベントを訪れた。運営するのは、外国語指導助手(以下、ALT)派遣企業のハートコーポレイションだ。厳しい暑さにもかかわらず、たくさんのALTと児童が集まりにぎわっていた。

ある教室をのぞくと、教室前方のALT2人が身ぶり手ぶりを交えながら米国、インド、カナダなど、各国の名物料理を英語で紹介している。「Hamburger」「Chicken Curry」「Maple tea」……ALTの声に子どもたちも英語で続く。ここでの学びのテーマは「世界のフードコートで食べ物を注文しよう」のようだ。

Teacher:Hello and welcome. What would you like?

Student:I'd like a Hamburger please. How much?

Teacher:Hamburger is 750yen. Here you are.

Student:Thank you.

Teacher:See you.

こうした「店員と客のやり取り」を全員一緒に学んだ後、グループに分かれて、教室の脇に設置された端末の前に集う。画面の先にいるのは別のALTで、今度は1対1で食べ物を注文するやり取りを実践する。料理に合わせて、その国出身のALTが画面の向こうにいるのが、何ともリアルだ。

端末の向こうにいるALTを店員に見立てて、料理を注文する児童

英語に触れる機会を増やすための仕掛け

大和田南小学校では、こうした英語イベントを2022年の夏からスタートさせ、その年の冬、23年の夏と3回開催している。当初、120人程度だった参加児童も、今回は232人と倍増している。企画したのは、昨年同校に着任した英語専科の谷脇光氏だ。谷脇氏は、英語イベント開催の目的について、次のように話す。

「英語に触れる機会を増やしたいと考えました。普段、学校にALTは1人しかいませんから、1対1で話す機会は限られます。イベントでは、日本人が介在せずに1対1で話すことができ、英語が通じない、聞き取れないという場面にも遭遇します。『何て言えば通じるか』『ゆっくり話してもらうにはどうしたらいいか』などを自分で考えたり、友達と協力したりして、英語が伝わるとうれしい、そんな成功体験を積んでほしいと思っています」

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