ドワンゴは2023年6月7日、日本財団と提携し、多様化する教育環境に対応し、教育格差を超えて学べることを掲げたオンライン大学「ZEN大学」(仮称、設置構想中)を25年4月に開学することを明らかにした(現在、設置構想中のため、以下の内容は変更の可能性あり)。

 

2025年に開学予定の「ZEN大学」のロゴ

 

すべての人にオンラインによる学びと実社会で求められる力を

ZEN大学の“ZEN”には、「全・善・然」など、学生一人ひとりが、さまざまな“ゼン”と向き合えるようにという思いが込められているという。

ZEN大学が目指しているのは、すべての人に、グローバル社会で活躍するための素養や教養を身に付けてもらうこと。既存の通信制大学やオンライン大学の多くが社会人を対象としているが、ZEN大学は高校を卒業したばかりの人を主なターゲットとしている。

先端テクノロジーと最前線で活躍するプロフェッショナルの教員による質の高い授業を自分のペースで学べ、オンラインだけで大学卒業資格を取得可能。自治体や企業と連携したフィールドワーク、問題解決プロジェクト・共同プロジェクトも用意され、創造性やリーダーシップ、ストレスに対処するノウハウなど実社会で求められる力を身に付けるプログラム活動もある。

初年度の入学定員は5000人(総定員2万人)で、年間授業料は38万円の予定。文部科学省令に基づく国立大学の授業料の標準額は年間53万5800円のため、金銭面での負担感は低く抑えられている。

理系・文系の壁を越えた5つの学び

開設される学部は「知能情報社会学部」の1学部のみ。理系・文系の壁を越えて「人文・社会」「情報」「数理科学」「デジタル産業」「クリエイティブ」の5つの関連科目が設置される。

現在ドワンゴでは、全135科目1万2150本の授業動画を制作しており、2025年の開学時には72科目6480本、27年3月にはすべての動画が公開される予定だ。卒業に必要な単位は124単位で、標準的な科目は2単位のため、4年間で62科目の単位を修得すれば卒業資格を得られるとしている。

ZEN大学は今後、未来の発展へとつなげる取り組みとして、数学・AI・コンテンツ産業など、さまざまな領域での研究プロジェクトを立ち上げるとしている。

数理科学・情報
人文・社会
クリエイティブ
デジタル産業
ZEN大学(株式会社ドワンゴ)のリリースを基に東洋経済作成

チェアマンは東京大学教授でOECD教育2030理事、Teach for All Global Board Memberの鈴木寛氏。学長には九州大学名誉教授でJST/CRDS上席フェロー、NTT基礎数学研究プリンシパルなどを務める若山正人氏が就任する。

副学長には元・米アリゾナ州立大学特任教授で学校法人角川ドワンゴ学園理事の渡邉聡氏(学部長兼務)と、慶応大学名誉教授で経営コンサルタントの上山信一氏が就任する予定だ。