1年半15回にわたって地方教育行政の充実改善を議論

文部科学省は2023年7月19日、「令和の日本型学校教育」を推進するため地方教育行政をどのように充実させていくべきかをまとめた報告書を公表した。

有識者会議である「『令和の日本型学校教育』を推進する地方教育行政の充実に向けた調査研究協力者会議」で22年1月から23年7月まで15回にわたり地方教育行政のあり方や改善点を議論した内容をまとめたもの。

「令和の日本型学校教育」は、人工知能(AI)など最先端技術の台頭や新型コロナウイルス感染拡大など予測困難な時代背景を踏まえ、学習指導要領にある「誰一人取り残すことのない持続可能な社会の創り手の育成」を目指し、ICTを活用して「日本型学校教育」を発展させようとする教育姿勢のこと。

14(平成26)年改正の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が施行され8年を過ぎて浮かび上がった制度運用の成果と課題を踏まえ、同会議では「令和の日本型学校教育」を実装した地方教育行政のあり方を議論してきた。

今回、公表した報告書では、地方教育行政充実の方策として①教育委員会の機能強化・活性化、②教育委員会と首長との効果的な連携のあり方、③学校運営の支援のために教育委員会が果たすべき役割、④小規模自治体への対応、広域行政の推進のための方策、と4つの柱を提示した。

地域住民との意見交換会、外部資金で教育財源確保など

①では、会議を活性化させるために地域住民との意見交換会など地域に開かれた会議運営を行うことや、教育長の人選には資質や能力、特性を踏まえること、将来の教育長候補となりうる人材への中長期的な育成を実施することなどを提示した。

②では、いじめや災害発生など児童・生徒などの生命または身体に損害が生ずる見込みがある緊急性の高いケースについて、総合教育会議で教育委員会と首長との間で共通認識を連携することが重要、などが挙げられている。

③では、学校の自主性を促すため寄付やふるさと納税、クラウドファンディングなどによる外部資金を獲得して取り組むことなど外部から教育財源を確保することを行うことや、教師が教育活動に専念できるように保護者らによる過剰な苦情や不当要求に対し教育委員会で支援する体制を構築するよう求めた。

④では、少子高齢化や過疎化が進む中、都道府県教育委員会が市町村教育委員会の抱える課題解決に向けて適切な支援を行うことや、小規模自治体ではオンラインによる情報交換やネットワークづくりの場を設置し指導主事の資質・能力を向上させることなどを掲げた。

報告書は下記URLで全文を確認できる。
https://www.mext.go.jp/content/20230719-mxt_syoto01-000030999_1.pdf
調査元:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/177/mext_01516.html