「池袋ウエストゲートパーク」23年後もヒットの訳 2000年代に刺さった仕掛けがNetflixでウケた
その他のキャストたちも、このドラマの後にどんどんと“主演級”になっていく。『I.W.G.P.』は2000年に放送された後、2003年3月に『スープの回』としてスペシャル版が放送されるが、まずはその3年間だけでも多くの俳優がブレイクした。
マコトの高校時代の同級生で、主要キャラの中でも絶大な人気を誇る「キング」を演じた窪塚洋介は、宮藤官九郎が脚本を担当した2001年公開の映画『GO』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝くなど、その3年で計5本の映画に主演した。
『スープの回』放送直後の2003年4月クールでは、『I.W.G.P.』で下っ端ヤクザを演じた妻夫木聡の連ドラ初主演作『ブラックジャックによろしく』、マコトが心惹かれるも謎多き女性を演じた小雪の連ドラ初主演作『きみはペット』が同じTBSで放送された。1月クールには、ドラマのキーパーソンを演じた坂口憲二の民放初連ドラ主演作となる『いつもふたりで』も放送されている。
マコトの友人役を演じ、当時はジャニーズJr.だった山下智久は、2003年11月にCDデビュー。同年末には、敵か味方かわからないクセのある刑事を演じた渡辺謙が、映画『ラストサムライ』の公開で世界的俳優に脱皮するという出来事まであった。
放送からわずか3年の間に『I.W.G.P.』に出ていた面々が一気に第一線に躍り出たのである。
それ以降も、マコトの親友役を演じた佐藤隆太が2008年に『ROOKIES』で連ドラ初主演、マコトの同級生で引きこもり役だった高橋一生の実力が2017年の『カルテット』等で広く世に知られることになり、ちょっとドジな警官役の阿部サダヲが2019年には大河ドラマ『いだてん』で主演俳優に……と、それぞれに俳優たちが活躍することで、時を重ねるほど、『I.W.G.P.』の豪華感は増していった。
2000年代の若者に刺さりまくったカルチャー
今から見れば超豪華キャストの揃ったドラマだが、放送当時の平均視聴率は14.9%。当時の基準で考えても、もちろん悪くはない数字だが、同じ2000年の大ヒットドラマ『Beautiful Life 〜ふたりでいた日々〜』が32.3%、『やまとなでしこ』が26.4%だったことを考えると、大ヒットとは言い難いラインである。
とはいえ、当時の若者への衝撃はすさまじいものがあった。筆者は当時中学3年生だったが、PHSの単音の着メロを、主人公マコトと同じ『Born to Be Wild』にしている生徒が教室の中にあふれていたのを覚えている。
2015年には、窪塚洋介が「キング」と呼ばれるCMが話題になったし、2021年になっても、人気芸人・ニューヨークの冠番組『NEWニューヨーク』で「勝手にIWGP キングNo.1決定戦」といった企画が行われ、30代の芸人4人が窪塚洋介の演じたキングに扮するなど、根強いファンは多い。
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