十数年前、行使価格に下方修正条項が付いた転換社債(MSCB)が流行した。MSCBを引き受けた証券会社は当該株式を大量にカラ売りし、株価が下落することから自殺CBといわれて評判が悪かった。最近これが形を変えて新株予約権(ワラント)の形で発行されている。MSワラントという商品だ。
当該商品のワラントは一定期間行使可能で、行使日の終値の92%程度に行使価格が修正されるものが多い。証券会社は、貸株を調達できた株数だけ取引終了間際に売り浴びせる。当然株価は終値にかけて下がるので、証券会社の平均カラ売り価格は終値より高くなる。そこで終値の92%でワラントを行使して得た株で貸株を返すと、証券会社はほぼノーリスクで8%以上の利ザヤを獲得できる。
上場会社が新株やワラントを発行する場合、金融庁と東京証券取引所の適時開示規則により、監査役は発行価格が有利発行でない旨の意見書を出さなければならない。だが、MSワラントの発行価格はおおむね当初行使総額の0.8%前後と非常に安い。しかも多くの場合、行使期間終了時に未行使のワラントを発行会社が買い戻す条項があるため、証券会社はリスクも取らない。にもかかわらず、ほとんどは有利発行とされず、株主総会で承認を得ていない。
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