州財政の苦境が、新型コロナウイルスの感染拡大で深まっている。連邦政府の追加支援を得られなければ、米国景気の大きな足かせになりそうだ。
非農業部門就業者数が前月比250万人増と幅広い産業で雇用者数が増え、失業率も改善した5月の雇用統計。だが、例外的に雇用者数を大きく減らした業種が州・地方政府である。コロナ禍が深刻になる2月以来の減少者数は約160万人と、2008年のリーマンショック時の約2倍に達した。
州・地方政府の雇用者急減は、財政の厳しさが背景だ。ほとんどの州政府は州法などで均衡財政を義務づけられている。だがコロナによる景気悪化で落ち込む税収と、失業で貧困者向けの医療保険(メディケイド)に頼る人が増えた歳出を受け、各州とも州予算の一部を削減し赤字回避を急いでいる。同時に、州政府からの補助金削減を受け、市町村などの地方政府も緊縮財政に追い込まれた。
深刻なのが初等教育への影響である。米国では地方政府が初等教育を運営する。その財源の内訳は地方政府が45%、州政府による補助金が47%、残りの8%が連邦政府だ。州政府からの補助金依存度が高いだけに、州政府の緊縮財政は地方政府の初等教育を直撃する。2月から5月までの州・地方政府による雇用者減のうち、約半数が地方政府による教育関連の雇用だった。
初等教育の窮状は、リーマンショック時の悪夢の再来である。当時も州・地方政府は教育関連の予算を大きく減らした。だが、その後の回復は鈍く、予算規模が削減前の水準に戻ったのは17年になってからだった。今回の州財政の悪化は、リーマンショック時を上回りそうだ。州政府が埋めなければならない21年度の財政赤字は、3000億ドルを超えると見込まれる。リーマンショック時の1.4倍に相当し、教育予算への影響は深刻にならざるをえない。
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