「自由・公正で民主的な選挙が実施できるよう、緊急の取り組みが必要だ」。3月下旬に米国で、1000人以上の政治学者がそう呼びかける書簡に署名した。
新型コロナウイルスの感染拡大と米政府が相次いで打ち出す対策に関し、トランプ大統領の再選に与える影響に注目が集まっている。しかし、コロナをめぐる状況の深刻化に伴い、政治学者たちの書簡が訴えるように大統領選の実施自体がより切実な論点になっている。
感染拡大は選挙戦にすでに影響している。民主党の予備選挙は投票日の延期が相次ぎ、7月の全国党大会も延期された。大規模な選挙集会は中止され、各候補はオンラインでの活動に頼らざるをえなくなった。ウィスコンシン州では7日、外出禁止令下にもかかわらず州最高裁判所の判断で予備選が実施されるなど混乱している。
11月3日の大統領・議会選挙の投票日までに状況が落ち着かなければ、事態は深刻になる。最悪の場合、投票自体が感染拡大の機会になりうる。危険を感じる人が多ければ、投票所を運営するスタッフを集めるのも難しくなる。大量の有権者が投票を自粛する可能性もある。3月下旬にピュー・リサーチセンターが行った世論調査によれば、回答者の7割弱が投票所に出向くことに不安を感じている。また時期をずらすにも限界がある。投票日の延期は、法改正で対応できる。しかし、翌年1月3日の新議会の開始や同20日の新大統領就任は、憲法で決められた日程だ。その改正は現実的ではない。
1つの選択肢は、郵送などによる不在者投票の普及である。2018年の中間選挙では、総票数の約4分の1が不在者投票だった。オレゴンをはじめとする5つの州では、すべての有権者に投票用紙が送られ、郵送や各地に設けられた専用の箱(ドロップボックス)への投函で投票を終えられる。
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