米国で新型コロナウイルスの感染が急拡大する直前まで、好調な経済と民主党の分裂に助けられ、今年11月のトランプ大統領の再選は盤石に見えた。
しかし新型コロナウイルスは再選シナリオを根底から覆し、トランプ政権に経済政策の大胆な変更を要求することになった。
振り返れば、2月上旬、米国は直近に中国に滞在した人の入国禁止を決め、初動は早かった。しかし、それからは後手に回った。感染予防の大胆な国内措置は、経済や株式市場に深刻な負の影響をもたらすため、トランプ氏を逡巡させたのだろう。
実際、トランプ氏は、3月13日に非常事態宣言を発するまでは、希望的観測にとらわれていた。1月18日の時点で感染を懸念するアザール保健福祉長官の進言に取り合わず、2月25日に国立予防接種・呼吸器疾患センターの専門家が「大規模感染は不可避」と発信しても、トランプ氏は「よくコントロールされている」として決定的な措置は見送られた。
それを大きく変えたのが、米国内の感染拡大と、それに伴う株価の記録的な下落だ。トランプ氏がいくら強弁しようとも、新型コロナは遠慮しなかった。
歴史家、ウォルター・ラッセル・ミード氏は、「トランプ氏はほかの危機対策と同様に脅威の性質を見極めようとし、自身の発言や政策対応を試しながら時間稼ぎをしてきたが、人間の政敵とは異なり、コロナウイルスは虚勢を張ったり脅したり懐柔したりできる相手ではなかった」と指摘する。
ただし、よくも悪くも、トランプ氏が普通の大統領と違うのは、慎重だった姿勢を転換した後の動きだ。3月17日の会見では、「これはパンデミック(世界的な感染流行)だ。新型コロナが深刻な状況になる可能性があるということは、以前からわかっていた」と発言して周囲をあきれさせた。
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