東京で開催されたAdvertising Week Asia 2017に、日本マクドナルドをV字回復させたサラ・カサノバ氏が登壇した。印象に残っているのが、改革までの道のりを振り返った「コンプレイセンシーとの闘い」という言葉だ。
横文字が多いマーケティングの世界でも、「コンプレイセンシー」は日本では耳慣れない言葉だろう。しかし、英語ではよく使われるビジネス用語だ。辞書には「自己満足」などとあるが、これだとちょっとニュアンスが伝わりづらい。
例えば、「英語を勉強しなくては」と思っているとする。英語ができたほうがいい、現状を変えたほうがいいということと、その理由はよくわかっている。それでも踏み出せないのは、「でも、今すごく困っているわけでもないし」と、現状に悪い意味で満足しているからではないか。この状態こそがコンプレイセンシーだ。
BCG(ボストン コンサルティング グループ)の「Preemptive Transformation:Fix It Before It Breaks(先取りトランスフォーメーション:故障する前に修理しろ)」(2018)には、ビジネスの変革に関する興味深いデータがある。業績がいいときに変革を仕掛けた企業の株主総利回りは、悪いときに仕掛けた企業より平均3%ポイント高いというのだ。
未病のうちに治す難しさ
このリポートの冒頭には「病気は発症する前に治せ」という中国のことわざが引用されている。発症しない「未病」状態のうちに治そう、と言われれば、それはそうだ、と誰もが思う。しかし自覚もなく検査でも異常がないうちに生活習慣を変える難しさも、誰もが知るところだろう。これがコンプレイセンシーの怖さだ。
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