「ピッチコンサルタント」をご存じだろうか。「ピッチ」は欧米の広告業界用語で、日本でいう「競合コンペ」だ。広告主は広告代理店を決めるため、複数の会社に企画の前提や条件を伝え、代理店側は数週間から数カ月かけて企画を用意する。
しかし、新商品の立ち上げごとに年に何回も代理店ピッチを実施するのは双方に負担が大きいため、年間を通じてすべての案件を任せる代理店、AOR(エージェンシー・オブ・レコード)を決めることも多い。
ピッチコンサルタントは、このAORを選ぶ際に活躍する。広告主の状況を踏まえたピッチのプロセスを設計し、進行の際も都度相談に乗ってくれる、専門のコンサルタントだ。欧米では一般的な業態であり、大企業を中心に広く活用されている。
このようなコンサルタントが欧米で一般的なのは、代理店選びが日本よりはるかに複雑なことが理由の1つだろう。何でも頼める「総合広告代理店」という業態は日本独特だ。諸外国では、メディアの買い付けを行うメディアエージェンシーと、広告の制作を行うクリエーティブエージェンシーが分かれている。
報酬の仕組みも違う。日本では、原価に一定割合を乗せてそれを代理店の収入とする「コミッション制」が多いが、欧米では、弁護士やコンサルタントのような「フィー制」が一般的で、報酬の面でも交渉はより複雑になる。
同時に、代理店選びがマーケティングの成否を決める、ということへの意識の違いもある。接待や付き合いによる代理店選びが少ない欧米では、ビジネスライクに頻繁に代理店を切り替える。そんな中で、ビジネスの浮き沈みと代理店選びが連動していることを何度も体感した結果だろう。
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