若者がテレビ離れしているといわれるが、実際のところはどうなのだろう。「『情報通信メディア利用時間調査』の5年間データに見るテレビとネットの時間的侵蝕関係」(東京大学 橋元良明 2018年)によると、確かに10代のテレビ視聴時間は、12年から16年までの5年間で13.7分減っている。しかし、テレビを見る10代はまだ約70%おり、視聴時間も減ったとはいえ1日約90分もある。20代以下はインターネットの利用時間がテレビより長いが、30代ではまだテレビの視聴時間のほうが長い。
また、テレビの視聴時間は同じ年代でも未婚・既婚で大きく傾向が変わり、既婚者で顕著に多くなる。今の10代、20代が既婚者の多い年齢になれば、テレビがネットを逆転する可能性もあるのだ。
若者はテレビ離れしている、のだろうか。昔よりテレビを見なくなっているのは事実だが、「若者はテレビを見ない」というのは明らかに言いすぎだ。テレビはいまだに強力なメディアであり、それは若者についても同様である。これは、広告担当としていろいろなメディアを試してみた実感とも一致する。テレビCMの効率性は、若者向けであっても、あらゆるメディアの中で一、二を争う。
以前はテレビを見ていた時間を若者が何に使っているかといえば、SNS(交流サイト)などコミュニケーション関連サービスだ。テレビ視聴時間の最大の流出先は、実は動画系サービスではない。いつでも好きなものを見られるネット動画が制約の多いテレビを負かしている、という見方は一見もっともらしいが、本質に迫ってはいない。
では、何がコンテンツビジネスの趨勢を決めるのだろう。その1つは「選択コスト」だ。何かを購入し利用した際の満足度は、通常、かかったコストを差し引いて考える。一般的には十分なサービスでも、高級旅館では満足できない、といったことだ。そしてこのコストには、選択に費やした時間や労力も含まれる。
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