効果測定やターゲティングの技術革新で、デジタル広告はマーケターの積年の課題について解決の糸口を見つけてきた。そんなデジタルの躍進に目を奪われがちだが、近年はテレビCMの進化も著しい。中でも注目すべきは、2018年2月に日本テレビ放送網が始めたASS(アドバンス・スポット・セールス)だ。
これまでテレビのスポットCM枠は、GRP(グロス・レーティング・ポイント)という取引指標で売買されてきた。視聴率を足し合わせたものだ。視聴率10%の番組に2回、20%の番組に1回CMを流すと、GRPは10×2回+20×1回で40ポイント。このGRPに「パーコスト」を掛け合わせてテレビCM枠の額が決まる。パーコストが10万円だと、40GRP発注するのに必要なコストは400万円だ。
この400万円で買えるのは足し合わせた視聴率で、特定の日時や番組にCMを放送する権利ではない。特定の番組にCMを流すには、タイムと呼ばれる番組提供の権利を購入する必要がある。これは大ロットの長期契約となるので、購入できる広告主は限定される。
ASSが革新的なのは、小ロット・短期契約のスポットCM枠を、番組単位で買えるようにしたことだ。広告主は、管理システムを使って空き枠を確認し、CMを流したい番組をピンポイントで指定できる。取引単位はGRPではなく各番組に設定されている単価だ。
システムが広告取引を仲介する仕組みは、デジタル広告に範を取ったものだろう。デジタル広告では、掲載面や視聴者の属性を指定すると、それに応じた価格が取引システムに表示される。通常、システムを操作するのは広告代理店だが、広告主が自ら操作し広告を買い付けることも可能だ。
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