金利が極端に低く、公債が投資家から安全と見なされている国は、金融緩和策の限界を補うために財政赤字を拡大する必要があるかもしれない。少し前に筆者はそう主張した。今こうした条件に当てはまるのがユーロ圏だ。
2008年の世界金融危機に続き、欧州債務危機に見舞われたユーロ圏では、経済を安定化する手段として主に金融緩和策が使われてきた。もちろん、金融政策は“燃料切れ”になってしまったわけではないが、もはや当時と同じ効果は期待できない。
これに対し、十分に活用されてこなかったのが財政政策だ。結果としてユーロ圏経済は潜在成長率を下回る状態が続いている。こうした状況は一刻も早く解決すべきだが、一国の努力だけではどうにもならない。ユーロ圏共通予算を創設し、財政支出レベルを引き上げる必要性は、以前にも増して高まっている。ただ、共通予算の実現は加盟国間の利害調整が絡むため、政治的なハードルは高い。
もっとも、ほかに策がないわけではない。真っ先に挙げられるのが、財政ルールの見直しだ。現在のような超低金利を考えれば、債務残高に課せられた「国内総生産(GDP)の60%」という上限は適切とはいえない。上限はもっと高くあってしかるべきだ。また、債務上限を超過した場合の債務削減ペースも緩和されるべきだろう。
金融政策も限界に近づきつつあるため、欧州委員会は各国がもっと自由に財政で景気を刺激できるようにしていかなくてはならない。「GDPの3%以内」という財政赤字の上限規制も緩めるべきだ。
市場の判断に委ねよ
もちろん加盟国に白紙委任状を与えるわけにはいかないが、あまりに厳しい規制のせいで政策ががんじがらめになるのも問題だ。
欧州委員会はまず第一歩として、加盟国の財政政策に細かく口出しするのをやめなくてはいけない。介入は債務が真に持続不能な道筋をたどっている場合にとどめるべきだ。そうでない限りは、加盟国の経済状態と債務見通しについて、市場に情報提供していくことが仕事の基本となるべきである。
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