一般的な見方とは異なるかもしれないが、5月下旬の欧州議会選挙で笑ったのはフランスのマクロン大統領である。なぜ、そう言えるのか。理由は4つある。
第1に、マクロン氏は今回の選挙で「中道派対ポピュリスト」の構図を描くのに成功した。
なるほど、マクロン氏はここ何カ月か、国内で強い批判にさらされている。しかし中道派とポピュリストの綱引きが起きているという同氏のメッセージは、唐突に持ち出されたものではない。
これはマクロン旋風を巻き起こした2017年の仏大統領選挙から来ている。当時、マクロン氏は欧州全域で広がる政治的な変化の波を捉え、伝統的な右派と左派の分断を乗り越えた。あれから2年。当時と同じことが欧州議会選で再現されたのである。
フランス政治は長年、右派の共和党と左派の社会党という2大政党によって支配されてきた。ところが今回の欧州議会選では、マクロン氏率いる共和国前進とルペン氏率いる極右の国民連合がそれぞれ22%、23%の得票率を獲得する一方、2大政党の得票率は合計で15%にも届かなかった。
かつてない規模で中道右派の崩壊が進んでいるのである。
フランスの国民連合やイタリアの同盟といった極右政党が票を伸ばしたのは事実だ。しかし一部で予想されたほどの勢いはなく、欧州連合(EU)全域を震撼させる事態ともならなかった。
崩れる2大政党制
マクロン氏が今回の欧州議会選に勝利したといえる第2の理由は、同氏の共和国前進が欧州議会の中道勢力を動かしえる存在になったことだ。欧州人民党(EPP)と欧州社会・進歩連盟(S&D)の2大会派が初めて過半数を割り込む一方、環境政党の緑の党が躍進を遂げた。
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