私たちは今、大国間で覇権争いが過熱するのを目の当たりにしている。ロシアは堂々と国際法を破り、周辺国を圧迫している。中国はあらゆる分野で戦略的な競争を仕掛け、独自の国際秩序をつくり出そうとしている。そして、米国は身勝手な圧力路線によって自国の利益を守る道を選んだ。
このように危険な地政学リスクが目を覚ます中、欧州連合(EU)は手をこまぬいていてはならない。自らの利益と価値体系を守るべく立ち上がらなければ、EUとその加盟国は新たな国際秩序(あるいは無秩序)の餌食にされてしまうだろう。欧州は今こそ団結して事に当たらなければならない。
確かにEUはトゥスク大統領とユンケル欧州委員長の下、かなりの策を講じてきてはいる。貿易戦争に対応できるよう通商政策は強化され、安全保障リスクのある企業買収への対策も進んだ。サイバー攻撃にも手を打っている。
とくに目を引くのは、防衛面で協力が進んだことかもしれない。かつて欧州委員会では防衛問題は腫れ物に触るかのように扱われてきたが、今では最優先課題の1つになっている。その証拠に、2017年には兵器調達を共同で手がける「欧州防衛基金」が創設された。
だが、取り組みはもっと強化されなければいけない。欧州はもはや域外に安全保障を頼れる状況にはないからだ。確かに欧州防衛基金などのおかげで防衛力は高まったが、それだけでは足りない。必要なのは一貫した戦略だ。
EUは16年に「グローバル戦略」をまとめている。EUとしての対外方針を示したものだ。しかし、大国間の覇権争いが過熱し、国境を揺るがす脅威が高まった今となっては、戦略をアップグレードし、実際の外交政策、防衛計画に落とし込む必要が出てきている。
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