ポピュリストの強権政治家が世界各国で次々と権力の座に上り詰めている。中でも、こうしたトレンドが目立つのが中南米だ。メキシコでは新興左派のロペスオブラドール氏が、ブラジルでは極右のボルソナロ氏が大統領に就任した。米国ではトランプ大統領の独裁傾向が批判されているが、中南米の独裁者に比べたらトランプ氏などひよっこにすぎない。
ベネズエラは世界最大級の石油埋蔵量を誇るにもかかわらず、チャベス前大統領と後継者のマドゥロ現大統領の強権政治で経済が崩壊。インフレ率は100万%を超し、貧困率も90%を突破した。3200万人の総人口のうち少なくとも400万人が国外に脱出し、マドゥロ氏が権力の座に居座れば、その数は今年、800万人に倍増するとの予測も出ている。
もちろん、メキシコとブラジルの経済がベネズエラと同じ運命をたどると言うつもりはない。だが、状況は深刻だ。
カリスマを誇ったチャベス氏が20年前にそうしたように、メキシコのロペスオブラドール氏は昨年、「庶民の生活をよくする」という公約を引っ提げて大統領選挙に圧勝した。そして真っ先にメキシコシティでの新空港建設を止めた。工事は3割方完了していたが、それでも飛行機を利用するのは富裕層だけだ、と建設中止に踏み切ったのである。その後、同氏は山に囲まれた郊外での新空港建設に動くが、地理的条件が悪いため完工は余計に難しくなった。
さらに腐敗撲滅の公約とは裏腹に、同氏が政権を握ってから競争入札は7割以上減少。トランプ氏と同じく、自身に批判的な報道を「フェイクニュース」と決めつけ、メディアたたきにも余念がない。
悲しき独裁
ロペスオブラドール氏が中南米で第2位のメキシコ経済を揺さぶる一方、中南米最大のブラジル経済を危機に陥れているのがボルソナロ氏だ。天然資源と人材に恵まれたブラジルには「未来がある」と長年いわれてきた。が、それと同時に「その未来は永遠にやってこない」とも揶揄されてきた。
この記事は有料会員限定です
残り 576文字
