日本は起業促進の取り組みを延々と続けているにもかかわらず、いまだに世界に後れを取っている。オランダの調査会社パンテイアが過去3年で売上高を年率2割以上拡大した高成長企業を集計したところ、日本は13カ国中最下位だった。こうした状況を解消できるかどうかは日本経済にとって死活問題といえる。生産性向上を左右する問題だからだ。
なぜ日本では起業家が生まれないのか。一般に日本人は極度にリスクを嫌うとされる。だが、もっと重要な要因はほかにある。起業家として成功するにはそれなりの経験を積まなければならないが、日本にはそうしたチャンスが不足しているのだ。
大企業の中で経営者的な仕事をする機会のことである。起業家(アントレプレナー)は革新的なアイデアを具現化しようと自ら会社を立ち上げるが、社内起業家(イントレプレナー)はこれを既存の会社内で行う。日本を含む先進国では、社内起業家のおよそ4人に1人がいずれ自ら会社を起こすようになることがわかっている。
日本の社内起業家でとくに目立っていたのがソニー「プレイステーション」の生みの親、久夛良木健氏だ。同氏は「ソニーはゲーム会社ではない」という上層部を敵に回し、孤立無援ともいえる環境でプレステ開発を率いた。当時経営トップだった大賀典雄氏の後ろ盾がなければ、プレステ事業は頓挫し、久夛良木氏もソニーをクビになっていたかもしれない。
だが、ほかの先進国では社内起業は常識になっている。先駆けとなったのが米スリーエム(3M)だ。同社は100年以上前の創業期から、勤務時間の15%を自らが選んだ研究テーマに振り向けるよう研究開発スタッフに奨励し、数々のヒット商品を生んできた。
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