アベノミクスが始まった当初から安倍晋三首相は賃上げを強く訴えてきた。賃金が上がらなければデフレ脱却も経済成長も実現しない、という立場だ。
だが、賃上げに向けた安倍氏の取り組みは、ほとんどが失敗に終わっている。賃上げは首相が命じただけで、すんなり実現するようなものではない。それに安倍氏は、男女や正規・非正規の待遇差別を禁じる「同一労働・同一賃金」の実施も先送りにしている。
結果として、日本の実質賃金は第2次安倍政権が発足してからの6年間で4%近く下落し、1997年のピークに比べ14%も低い水準に沈んでいる。
このように失敗だらけの安倍氏の賃上げ政策だが、例外的に効果を上げているものが1つある。最低賃金の引き上げだ。
安倍政権は2016年に最低賃金(当時は全国平均で時給798円)を1000円に達するまで年3%ずつ引き上げる政策を導入。これにより数百万人という単位で所得が増加した。現在の最低賃金は全国平均で874円となっており、23年ごろには1000円に達する見通しだ。ただ、1000円を超えて最低賃金が引き上げられるのかどうかはわからない。
日本企業で働く3500万人の正社員を見ると、18年の実質時給は07年からまったく上がっていない。一方、非正規で働く2100万人の実質時給は、調査会社のジャパンマクロアドバイザーズによると同期間に1割上昇した。
最大の理由は、企業が非正規雇用を拡大し、需給が引き締まったことにある。非正規の人件費は圧倒的に安い。パートの時給は正社員の4割、派遣も7割以下だ。
ただ、最低賃金を引き上げることの重要性が高まってきているデータも多数存在する。
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