ポピュリスト政党は右派と左派のどちらも、勤勉で善良な労働者の代弁者を自任する。ポピュリストでないほかの政治勢力はすべて腐敗していると決めつけ、自らを支持しない国民にはことごとく裏切り者のレッテルを貼る。ポピュリストの政治は反エリート主義であるだけでなく、多元的な民主主義にも背を向けるものだ。
一方、このところ盛り上がりを見せている別の「左派ポピュリズム」は、これとは反対に民主主義の刷新を目指す動きと理解されなければならない。国民に新たな選択肢を示し、政治への信頼を取り戻そうとしているからである。これらの左派は、決して民主主義を軽視する“ポピュリスト”として人気を集めているわけではない。
その理論的支柱となっている思想家らによれば、2つの戦略が功を奏しているという。
まず、伝統的な左派政党が右旋回したことで生まれた政治的な空白に狙いを定めたことだ。西側諸国では左派の主要政党が「第三の道」、あるいは「人間の顔をしたサッチャリズム」をこぞって取り入れた結果、保革の違いが失われた。スペインとフランスの極左政党に助言する政治学者のシャンタル・ムフ氏に言わせれば、主要政党の間にはもはやペプシとコカ・コーラほどの違いしかない。
欧州で台頭するポピュリズムのうねりは、政治的選択肢が失われたことに対する「人々の叫び」だとムフ氏はみる。欧州でベストセラーになったフランスの社会学者、ディディエ・エリボン氏の回想録にこんな話が出てくる。同氏の母親は共産党支持者だったが、新自由主義に寝返った左派に抗議するため今ではルペン氏率いる極右政党に票を入れている。この話が示すように普通の国民は旧来の左翼に愛想を尽かし、まったく新しい政治が現れるのを待っている。
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