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英国を狂わす大英帝国の亡霊 英国人は英国をかつてのような大国だと思い続けてきた

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英国の有権者はなぜ欧州連合(EU)離脱を選んだのか。米国のトランプ現象になぞらえて経済への不満、移民やエリート層への敵意に理由を求める向きは少なくない。だが、これで十分に説明がつくと思ったら大間違いだ。

まず指摘しておかねばならないのは、EU離脱をめぐる2016年の国民投票で離脱を支持した労働党支持者は少数派でしかなかったということだ。反対にロンドン以外の裕福な選挙区に住む保守党支持者は、大多数が離脱に票を投じた。保守党は党員数が減少し、ますますイングランド至上主義に傾いている。どんな政党であれ、党員が減ると主張は過激になっていくものだ。

保守党では党員の高齢化も進んでいる。国民投票では高齢者の多くが離脱を支持したが、若い有権者では残留支持が圧倒的だった。このため離脱派優位の状況はすでに崩れたとする分析も出ている。高齢者が死んでいく一方で、投票年齢に達する若者が増加し有権者のバランスが変わったというのだ。

典型的な離脱派がロンドン以外に住むイングランド人だった点も見逃せない。スコットランドと北アイルランドでは過半数が残留を支持した。ということは、離脱の背景には経済的な不満よりも、もっと別の大きな要因が潜んでいるように思えてならない。保守党を支持する高齢者の国粋主義的な不満のほうが、ずっと濃い影を落としているのではないか。

かつて英国は強大な帝国だった。その威信は20世紀初頭から衰え始めていたが、英国人(とりわけイングランド人)は英国をかつてのような大国だと思い続けてきた。現実に身の丈を合わせることができなかったのである。

EUの前身である欧州共同体に加盟した1973年当時、英国は“欧州の病人”として哀れみの対象になりかけていた。英国はその後、欧州の中で繁栄を遂げた。確かに英国は統一通貨など欧州の企てのいくつかを忌避した。しかし単一市場の恩恵を享受するには、加盟国としてEU共通の意思決定過程に加わらなければならない。英国はこれを当然の理屈として受け入れたはずだった。

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