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オウンゴールを続ける米国 リーマンショックの克服から逆行

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  • 高井 裕之 国際ビジネスコンサルタント
たかい・ひろゆき●神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。非鉄金属本部で17年間、うち7年間は英国ロンドンで貴金属や、銅・アルミなどベースメタルの取引を担当。その後、金融事業本部長やエネルギー本部長を経て、住友商事グローバルリサーチ社長。2018年4月から現職。(撮影:梅谷秀司)

世界を震撼させたリーマンショックから今月でちょうど10年になる。

その間に日米欧の中央銀行によるQE(量的金融緩和)政策や中国による4兆元の景気刺激策などが功を奏し、米国を筆頭に世界経済とマーケットは大きく回復した。米国の失業率は10%超から4%割れまで低下し、米国S&P500株価指数は2009年3月につけた底値から4倍を超える上昇を見せている。筆者もリーマンショック当時は東京で金融事業を統括する立場にあったが、こうした展開は想像すらできなかった。あらためて経済・金融政策の重要性を認識する10年であった。

しかしここに来て絶好調の米国経済を横目に、世界経済にはほころびが目立ち始めている。トルコやアルゼンチンなど脆弱な財務体質の国々が次々に変調を来し、通貨は売られてインフレが高進し、資本流出が止まらない。市況商品も同じだ。産油国の協調減産とイラン問題などから需給がタイトな原油を除き、銅、亜鉛、貴金属などメタル系商品を中心に軟調な相場が続く。

背景に金融危機以降に続いた大規模な金融緩和策の巻き戻しがあることは論をまたない。FRB(米国連邦準備制度理事会)による金融正常化は3年前から始まり、ゼロに近かった政策金利も今では2%にまで上昇し、着実に進んでいる。10年で膨らんだバランスシートの圧縮も進み、利上げも今のペースなら今年、あと2回はありそうだ。米国が緩和マネーを回収していけば、その恩恵を受けてきた新興国は干上がってしまう。

米国と対照的なのが中国だ。経済成長率は6%台半ばを維持するものの、当初のもくろみであった消費主体の成長モデルへの転換は進まず、相変わらず固定資産投資に依存した状態が続く。過剰債務問題が深刻化する中、政府も債務を削減する政策を進めたくとも、経済減速のリスクを取れず、ついエンジンを吹かすという悪循環。経常収支は赤字に落ち込み、通貨も株価も安値圏で推移している。

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