図表1は筆者が定期的にアップデートしている、ドル円のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)モデルによる推計値と、実際の相場動向を示したものだ。このモデルに基づく、ドル円の推計値は現在106円台。推計値は昨年4月に118円ほどでピークアウトし、足元まで低下基調をたどってきた。この間、実際のドル円は昨年6月の125円台から今年6月の99円台まで下落した。このドル円下落によって、このモデルの正当性は一段と高まった。
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このモデルにおいてドル円相場を決めるのは、(1)日米の名目政策金利差、(2)日米10年国債の実質利回り格差、(3)日米マネタリーベース(資金供給量)倍率、(4)日本の国際収支、(5)日本の交易条件の五つである。このうち(1)(2)(3)は基本的に金融政策を反映するものであり、これまで同様、今後も円安ドル高要因として作用することが見込まれる。
それにもかかわらず、推計値が昨春以降、118円台から106円台に下落してきたのは、それ以外の(4)(5)の要因から生じる円高ドル安圧力が、(1)(2)(3)の金融政策要因から生じる円安ドル高圧力を上回ってきたからだ。
日本の国際収支や交易条件が改善しているのは、2014年以降の原油安で輸入が減少し、輸入物価が下がっている影響が大きい。過去1年の円高ドル安のうち、円高の部分を抜き出せば、単に原油安が理由ということだ。その原油相場は今年1月を底に回復局面に入り、日本の国際収支の改善も止まった。
ただし通常、日本の国際収支の変化がドル円のトレンドに影響するまでには1年程度のタイムラグがある。このモデル分析においても、経常収支などを1年先行させて分析している。原油相場の反発と国際収支の悪化が円安要因に転じるのは、来年前半にズレ込む公算が高い。モデルによる推計値は今年は105~110円前後で横ばいが見込まれ、上昇に転じることが展望できるのは来年からである。
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