8月に為替相場は1ドル=100円を割る局面があった。だが、円高で通常は下落する傾向が強い日経平均株価は比較的底堅い状態にある。背景にあるのは日本銀行の追加金融緩和だ。
日銀は7月29日の金融政策決定会合でETF(上場投資信託)買い入れを、従来の年間3.3兆円から6兆円に引き上げた(うち設備・人材投資関連型ETFが3000億円)。8月をみると19日までに、日銀のETF買いは4回あった。2回は従来金額の倍の707億円、残り2回は347億円だった。売買代金が薄い中での日銀のETF買いは存在感が大きく、買い入れが実施され株式相場は好転している。
物色面でも異変が生じている。通常、円高局面では外需株は値下がりする傾向が強いが、8月は内需優良株が逆に大きく調整し、外需株が相対的に買い進まれた。この間、2016年度第1四半期(4~6月期)の決算発表があった。主要製造業の営業利益は、アナリストの事前見通しが前年同期比マイナス20.2%だったのに対し、マイナス8.7%で着地した。減益ながら想定を11.5ポイント上回る着地はサプライズと受け止められたようだ。外需業種の16年度通期予想は足元の円高が響き、アナリストの下方修正が続いているものの、徐々にその件数は減少してきている。
内需業種は外需業種に比べ、第1四半期は営業増益となった企業が多かったが、アナリストの通期予想がどんどん上方修正されているわけではない。最悪期を脱しつつある外需に対し、上方修正があまり進まない内需という構図であり、モメンタムは外需が内需を上回る状態に転じてきている。1ドル=100円より大きく円高にならないかぎりはこの傾向が続きそうだ。
これまで相場を牽引してきた低β株にも異変が見られた。βとは株価の指数に対して、個別銘柄がどの程度敏感に反応したか表すものだ。ブレグジット(英国のEU〈欧州連合〉離脱)決定後、相対的に低β株が買われたが、米国株が上昇に転じると、金融株や素材関連、外需株などの高β株が買い進まれた。
この記事は有料会員限定です
残り 626文字
