「最近の数カ月で利上げへ向けた状況が整ってきた」──。
毎年、米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれる、経済シンポジウム。8月26日、FRB(米国連邦準備制度理事会)のイエレン議長は、講演の冒頭で利上げの時期が近いことを示唆した。
翌27日に講演を行った日本銀行の黒田東彦総裁は、マイナス金利政策の導入によって「長期・超長期の国債金利が大幅に低下した」「名目金利のゼロ制約の影響を受けない『真の金利』が示現する」など、その効果を強調した。
9月は、日米の金融政策を決定する会合が20〜21日に集中しており、金融市場の注目を集めている。
米国が9月2日に発表する雇用統計で、非農業部門の雇用者数の増加が20万人を大幅に割り込む(エコノミストの予想は18万人)ことがなければ、FRBは利上げを実施する可能性が高い。
FRBは2015年12月に最初の利上げを行い、金融緩和からの出口を目指したが、経済がドル高の負担に耐えられず、利上げは続かなかった。米国の景気拡大は86カ月に達しており、循環的に不況入りしたときのため利下げの余地を作っておきたいという、いわゆる“のりしろ”論が背景にある。
他方、日銀は13年4月から実施している「量的・質的金融緩和」政策の効果について、9月に「総括的検証」を行うと予告している。
足元で日本の物価はデフレに舞い戻りの様相だ。消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は今年3月以降、5カ月連続の前年割れとなっている。7月は前年同月比マイナス0.5%に沈んだ。
年80兆円の国債購入はいずれ供給の壁にぶつかるため、日銀はマイナス金利政策に軸足を移していくとみられる。先行きが不透明なので緩和手段を温存しておきたいという思いもある。一方で、市場に見透かされないよう、あまり間を置かずにマイナス金利を深掘りする、すなわち現在、民間銀行の日銀当座預金の一部に適用している、0.1%のマイナス幅をさらに広げる政策を決めることもありうる。
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