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くすぶり続ける円高圧力 ヘリコプターマネー導入でも

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  • 内田 稔 三菱東京UFJ銀行 チーフアナリスト

現在のマイナス金利付き量的・質的金融緩和は、「異次元」などと形容されることが多い。確かに、日本のマネタリーベースは拡大し続けており、今年の6月末時点では、名目GDP(国内総生産)比9割を超えてきた。米国やユーロ圏のマネタリーベースがGDP比およそ2割前後にとどまっていることにかんがみれば、確かに「異次元」といえる。にもかかわらず、物価安定の目標、物価上昇率「2%」の達成は遠くにかすんだままだ。

しかも、大規模な金融緩和は通貨安を伴うことが多く、近隣窮乏化策との国際的な批判も少なくない。実際、国際的な議論は、金融緩和への過度な依存を改め、財政出動を含む政策を総動員した景気対策を重視する方向へ移行しつつある。日本でも大型の第2次補正予算編成への期待は膨らむばかりだ。

ただ、日本の公的債務残高は、昨年末の段階ですでに名目GDP比248%(図表1)。日本も含む先進国の平均である約106%の倍以上の水準だ。日本はすでに異次元の規模で財政出動を実施しているにもかかわらず、長いデフレ経済を経験してきた。

[図表1]
拡大する

もちろん過去の財政出動がなければ、日本経済はさらに悪化していたかもしれない。ただ客観的に見ていえるのは、既存の金融緩和や財政支出の拡大だけでは、物価安定目標の達成はおろか、デフレからの脱却すら容易ではないということだ。このため政府と日本銀行の連携に対する期待が高まっている。

折しも「ヘリコプター・ベン」の異名を持つバーナンキ前FRB(米国連邦準備制度理事会)議長が来日し、安倍晋三首相や黒田東彦日銀総裁らと相次いで会談した。これを受け海外勢を中心に、へリコプターマネー(ヘリマネ)政策への関心が高まり、7月に入ってから円安・株高が進む一因となった。安倍政権の経済政策アドバイザー、浜田宏一内閣官房参与は否定的な見方を示している。筆者も、こうした政策が実際に行われる可能性はゼロに近いと予想する。ただしリスクシナリオとして、ヘリマネ政策が導入された場合の顚末を整理しておく必要があろう。

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