5月の米雇用統計の内容は、利上げ観測を吹き飛ばしてしまった。非農業部門雇用者数はわずか3.8万人増にとどまった。3、4月分も下方修正されており、3カ月平均でも11.6万人増えたにすぎない。
失業率は4.7%に低下したものの、これは労働参加率が62.8%から62.6%へ下振れしたことで説明できてしまう。平均時給も前月比プラス0.2%と、前月のプラス0.4%から低下した。概観としては、ネガティブサプライズの雇用統計と評することができよう。
すでにFRB(米国連邦準備制度理事会)が19の雇用関係指標で算出する「労働市場情勢指数」は、冴えない動きを示していた。今回の雇用統計でも、改善モメンタムの減衰が確認されたわけだ。
また、同日に発表されたISM(全米供給管理協会)非製造業指数も52.9へ鈍化し、中でも雇用指数は49.7と50割れに沈んでいる。同製造業指数は51.3とかろうじて景況判断の分岐点である50を上回っているものの、予断を許さない状況だ。
設備投資の先行指標であるコア資本財受注も冴えず、企業経営者は先行きを慎重に見ている。もちろん、住宅や自動車販売は好調を持続しているが、こうした好悪混交した経済統計を見ると、FRBが利上げを急ぐ必然性は見いだせない。
さらに重要なのは、雇用と並んでFRBの二大命題である物価が低水準で推移し続けていることだ。PCE(個人消費支出)コアデフレーターは4月も前年比プラス1.6%と、目標である2%には遠い。イエレン議長は利上げに対して、「経済統計次第」と繰り返していることから、利上げはそうとう遠のいたと見るべきであろう。
フェデラルファンドレート(短期の政策金利)先物の示唆する利上げ確率は、6月が4.0%、7月が27.0%、9月が41.6%、12月が58.5%である(6月3日時点)。市場は、利上げがあるとしても大統領選挙後の12月以降と見ていることになる。
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