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訪日客の買い物額が4月から3割減った インバウンドのこれからは?

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大西 洋 三越伊勢丹ホールディングス 社長
おおにし・ひろし●1955年生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、79年に伊勢丹入社、紳士服販売員や三越MD統括部長などを経て2012年から現職。16年から百貨店協会会長。(撮影:今井康一)

急に消費が悪化したかのようにいわれるが、1年半前から変調を把握していた。百貨店の客層は7割が中間層だが、この頃から売れ筋商品の価格帯が下落していた。株高の影響で富裕層の購買意欲が上がり消費を下支えしていたから、問題が表に出てこなかった。もちろんインバウンド消費も追い風だった。

しかし年明けから富裕層の消費が伸び悩み、4月から訪日客の買い物額は3割程度も下落した。4月単月の売上高は14年10月以来初めて前年割れとなり、稼ぎ頭の伊勢丹新宿店や銀座三越まで前年を割り込んでしまった。当社は2017年3月期も増収増益の計画を立てているが、正直、売上高目標を達成するハードルはかなり高い。

インバウンド消費に関しては、むしろ今の水準が適正だと思う。15年度の当社の訪日客向け売上高は600億円超だった。宝飾品売り場では高級ブランド時計が次々と売れて、銀座店では免税売上比率が3割弱まで膨らんでいた。これは少し異常な状態だ。それが株安や円高でトーンダウンし、中国で関税が強化された影響もあって売れ筋商品の価格帯が下がり始めている。化粧品が顕著で、買いやすい価格の商品が売れるようになっている。今年のインバウンド需要は、500億円程度あればいい。

私はかねがね訪日客の売上比率が15%を超えたら危険だと言っていたが、銀座店は訪日客向けにシフトしすぎていた。銀座店は日本人客向けの店作りをしているのだから、日本人への向き合い方を再考する必要がある。訪日客に対しては、8階の空港型免税店の利便性を高めていく。新宿店エリアにも早く2店目を作る計画だ。

売り場を縮小して複合施設へ

むしろ問題は、中間層の消費をどうやって盛り返すのかだ。世の中の消費がモノからコト中心へと移ってきている中で、今でも百貨店はモノの売り場が8割を占めている。20年にグランドオープンする日本橋三越本店の大改装計画では、売り場の多くを占めていた衣料品の割合を縮小し、芸術や趣味など遊びの分野を強化する。モノを売るならば、客の心を動かす商品や仕掛けが必要だ。

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