アナリストが「わからない」と言うのははばかられるが、今はまさにそうだろう。当事者すら判断に迷う中、論理的に予想できるはずがない。政治面では23日にEU(欧州連合)残留・離脱に関する英国の国民投票が、11月には米大統領選挙が控えている。
金融政策に目を移せば、日本銀行の黒田東彦総裁は期待インフレ率や企業の価格設定行動、消費、輸出動向などを考慮し、春先の時点で6月か7月の追加緩和を決めていたかもしれない。だが、今や(今後もそうだが)大手行の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー)資格返上という新たな巨大要素が加わってしまった。
日銀のように“異次元の困難さ”は抱えていないにせよFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長も、判断を留保しているのは同様だ。「経済指標次第」であるが故、6月の利上げは見送った。
利上げに慎重になるのは、米国景気の拡大が長期に及び、終盤戦に近い可能性を考慮しなければならない点が大きいだろう。また実体経済が、生産性の測定や所得格差の拡大、長期停滞といった学者を二分する要素を抱えている点も判断を難しくする。
政治動向や金融政策の結果やタイミングなどわからない事象から、わかりそうなことは何か。それはこれまでのグローバリゼーションの流れに揺り戻しが生じ、経済活動の分断化が新たなテーマになるのではということだ。
英国の国民投票、米共和党予備選挙でのトランプ候補の勝利。日米欧中が実施した金融緩和と通貨安誘導、そのコインの裏側の通貨高と景気低迷はいずれも、孤立・保護主義的な動きに見える。国内経済の成長停滞や所得の不平等などが続くとそのような動きが生じるのだろう。世界貿易の停滞はさらに進むかもしれない(図表1)。
この記事は有料会員限定です
残り 712文字
