2016年の世界株式市場は、それほど大きな上昇が期待できないと見る。日本株で言えば、上値メドは日経平均株価で2万1000円程度だろう。世界経済の牽引役であった米国で、景気後退が視野に入るためだ。
その理由は三つある。第一には景気循環だ。図1は過去の米国の失業率と景気後退との関係性を図示したものだ。
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失業率が低い水準で長くとどまることはなく、景気拡大の後にはほどなくして景気後退が続いてきた。実際に、第2次世界大戦以降、失業率が景気拡大期のボトム(最低水準)に達すると、平均8.7カ月後に景気後退入りしている。失業率を完全雇用の水準に抑制できない理由は、金融政策の実行は認知とラグがあるためであろう。
であれば失業率の下限がどの程度になり、その水準にいつ到達するかを検討することは重要だ。米国連邦準備制度理事会(FRB)は直近の見通しの中で「失業率の下限は4.8%付近。16年終わりにはこの水準に達する」としている。この見通しに景気後退入りまでの「平均8.7カ月」を足せば、17年中には景気後退入りが見込まれる。
第二に金融政策である。景気後退の尻尾が見えつつある米国経済に待ち受けているのは、FRBによる利上げ=金融引き締めである。
利上げに関してよく言われることが二つある。「利上げ開始」という言葉と「重要なのは最初の利上げ時期ではなくその後のペース」という話である。いずれも言外には「利上げがずっと続く」という前提がある。
しかし実際には「利上げ開始」ではなく「単なる利上げ」に終わるかもしれない。あるいはペースと呼ぶほど利上げは長続きしないかもしれない。米国景気は度重なる利上げに耐えられるほど強い状態とは言えないためだ。
FRB政策金利と、米国の鉱工業生産の伸びには連動性がある。生産水準は実際の受注や受注予測などが反映されることを考えれば、これは当然と言える。現在、鉱工業生産の伸びは下向きなので、適切な金融政策は引き締めではなく緩和のはずだ。「非製造業は堅調だから(利上げが妥当)」という反論も想定されるが、産業の変遷を考えればサービスに対する需要は製造業の生産性と所得に制約を受ける。
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