例えばこういうものです。
・男性は「弱み」を見せてはいけない。
・女性は若くなければいけない。
・もっと痩せなければいけない。
・やるからには成功しなければいけない。
・いつもいい成績をとらなければいけない。
これらはほんの一例ですが、このような自分の中の植え付けられた「理想像」に気がつくことが改善のための大きな一歩です。たいてい、こうした信念は、自分の中で自動的にどんどん発生していて、無意識に影響していることすら気がつきません。ですから、自分の言動を振り返って考える必要があります。そしてとらわれた考え方に気づき、書き直していくことが大事なのです。
「いい人」をやめてみる
「『いい人』のままでは、誰にも君のことを覚えてもらえないよ」。これは、私がオックスフォード大学を修了後、国連のニューヨーク本部で働いていたときに当時の上司に言われた言葉です。ここでいう「いい人」とは、相手との対立を恐れて、自分の本当の思いを殺してしまう人のことです。
いい人は無難な意見ばかりを口にするけれど、そんなものは国連では何の役にも立たないし、誰の記憶にも残らない。彼にそう言われて私はかなりショックを受けましたが、「確かにその通りだ」とも思いました。大きな損もないように見えるけれどもその代わり得もしない、いわば「守りの姿勢」ではないかということでした。
なぜなら、「いい人」であることを演じることによって、自分の本当の意見や立場を表明する必要もないし、自分の意見がもしかしたら受け入れられなかったり、批判されるかもしれないという可能性を避けられる面があると思ったからです。
また、いい人でいることのもう1つの恐ろしい弊害は、いい人を演じ続けなければいけない義務感、そしてこうすれば人から評価されるという期待感に囚われてしまうことです。しかも、そんな人ほど実は心のなかで怒っているのです。
「自分はこんなに我慢しているのに」と思う一方で、相手からは期待するような反応や評価が返ってこないことに対して、常にイライラや不満をためているのです。自分の満足は「相手の反応次第」になってしまうからです。
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