「熱中症」で見落とされがちな3つのポイント 水やお茶だけでは「水分補給」には不十分だ

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市販のスポーツドリンクも塩分が含まれるため熱中症予防に効果的ですが、経口補水液に比べて塩分が少なく、糖分が多いことに注意する必要があります。飲みすぎは「ペットボトル症候群」と呼ばれるような、血糖値が上がるためにのどが渇き、またスポーツドリンクを飲むという悪循環に陥る可能性があります。

経口補水液の味が苦手な方は、スポーツドリンクに頼りすぎることなく、梅干しやお味噌汁、塩飴と一緒に水やお茶を摂取することで水分と塩分を同時に補うようにしましょう。

逆に水分補給として不適切なものは、コーヒーなどカフェインを含むもの、そしてお酒です。嗜好品としておいしく飲むのはいいことですが、カフェインやアルコールには利尿作用があるため、水分補給という意味ではむしろ脱水になってしまうのです。

飲み物を飲むタイミングは「のどが渇く前に、こまめに」が基本です。とくに寝起きやお風呂上りには身体が脱水状態になっているため、コップ1杯の飲料を必ず飲むようにしましょう。1日の目安となる水分量は約1.2Lです。

暑い環境からの回避と冷却の方法

熱中症は、身体の外への熱放出がうまくできず体温が著しく上昇した状態をいいますが、これには温度・湿度・風速・太陽からの日射が関係します。見落とされがちなのは湿度で、湿度が高いと汗が蒸発せず熱がこもってしまいます。湿度の高い日は、たとえ曇りでも水分補給を十分行うようにしましょう。

室内の環境を適切に涼しく整えることも、熱中症予防には非常に重要です。室内ではやはりエアコンが素早く効果的です。温度調節はもちろん、除湿機能で湿度を下げて風量調節で適度な風を送ることも可能です。

ここで毎年問題視されているのは「エアコン嫌い」の方が多くいることです。熱中症で搬送された人の8割がエアコンをつけていないという報道もありました。にもかかわらず使用しない方が案外多いという印象です。

理由はさまざまですが、風が身体に当たるのが不快であれば風向き調節で吹き出し口を上方向にする、ブランケットを羽織ることで対策になります。電気代が気になる場合は、カーテンなどで外からの熱を遮断する、サーキュレーター(空気を循環させるもの)を併用することで冷房効率を上げることができます。

また、加齢に伴って体温調節機能が低下するため暑さを感じにくく、エアコンなどの必要性を感じなくなってしまう方も多くいらっしゃいます。温度計や湿度計を設置することで、視覚的に目標の温度・湿度をわかりやすくして温度調節をするとよいでしょう。

それでも室内が暑くつらい日は、保冷剤などをタオルに包んで首・わきの下・足の付け根といった太い血管が通る場所を中心に冷やしましょう。冷えた血液が全身に回りやすくなり、たいへん効果的です。

熱中症予防の3つのポイントを押さえ、残暑の季節も健康に乗り切っていきましょう。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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