「代替わり」こそ衰退産業を復活させる好機だ 京都市にある「街のお米屋さん」の超復活劇

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京都のお米屋さんの事例を挙げながら、衰退産業を復活させるキーコンセプト、「ビギナーズ・マインド」「増価主義」「地産外招」について説明します(写真:ゴスペル/PIXTA)

「長野県に家族5人で移住して、新しい気持ちでシンプルな暮らしをしたい」

都会で共働きをしていたアラフォーの私たちはハーバード・ビジネススクール留学中に知り合って結婚し、金融機関や外資系企業に勤務した後、それぞれが自分の会社を起業していました。2002年に長野県北御牧村(現在の東御市)に「I(愛)ターン」移住しました。「愛ターン」というのは、地縁や血縁がなくても、その土地の風景や暮らしが好きで移住することです。

移住した当時の北御牧村は人口約6000人の田舎で、コンビニもなく信号機は村内に2カ所だけでした。最初は慣れない田舎暮らしに戸惑うこともありましたが、16年以上この地に住んで、都会暮らしではわからなかったさまざまなことを学びました。

田舎に住んだことによって、衰退産業といわれる「商店・旅館・農業・伝統産業」が身近な存在になり、衰退産業の経営難や後継者難をより切実に感じるようになりました。

事業承継とスモールビジネスの当事者

また、1997年にインド紅茶の輸入・ネット通販会社を起業し21年間経営していましたが、2018年3月に地元の女性に事業譲渡し、現在はスモールビジネスの創業塾を経営しつつ、大学でも「スモールビジネス論」を教えています。つまり、事業承継とスモールビジネスの当事者です。

経営研究の対象は「商店・旅館・農業・伝統産業」などを含む、いわゆる「衰退産業」が中心で、著書『衰退産業でも稼げます 「代替わりイノベーション」のセオリー』では、「商店・旅館・農業・伝統産業」において、事業承継時や起業時に画期的なイノベーションを起こしている16の事例を取り上げました。

一般に衰退産業と考えられている「商店・旅館・農業・伝統産業」には、以下の3つのような特長があります。

1、 ローテクではあるが長く続いてきて、今後も残すべき「価値」があること
2、新規参入が少なく、比較的ローリスクで、後継者難。事業承継はチャンスであること
3、労働集約的である反面、生業(なりわい)としてやりがいがあること
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